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だが、うちの家族は諦めなかった。また、こたつの四隅の毛布の中へ足を突っ込む。しかし先程同様に今度は一歩下がって元いた場所に戻りやがった。器用なことに誰の体も踏まないのだ。どこにハイスペックをかけているのやら。そしてまた同じ言葉を吐く。
そしてまた同じことの繰り返しを私の目には何度も見させられた。どんなに座る位置を複雑にしても無駄なようだ。テレビである人が言った言葉がある。『人は機械に勝てないのかもしれない』と。まさしくその言葉通りのその光景が私の目に映っている。彼女たちは疲労のあまり負けたのだ。そして結局のところこのこたつは即処分となった。今ではクーラーを通して温かい風が私たちの部屋をこたつがいない時同様に扱われている。
私がこたつの中に入ることはなかったが、あの言葉だけは今でも脳内に響いている。そしてその言葉は今日もまたどこかで鳴っているだろう。
「お前らに与えるものなどねぇ」と。
-完-
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