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こたつ争奪戦
こたつ。
そう、それは突然両親の車によって連れてこられたくじ引きの商品である。
そのこたつはというと、ハイスペックだそうだ。どこがどうハイスペックなのだろうか、と思いつつも私の目の前に大きな亀が手足や頭を隠したかのようにそれはある。いや、間違えた。頭はない。何せ、その板に挟まれた毛布から相手出てくる黒い隙間は四つしかないのだ。そして私たちは五人家族だ。その五人が今、それを囲み立っている。
つまりこれは『こたつ争奪戦』の始まりである。
「よし、入れるわね。私が取ったんだから私が入ってもいいわよね?」
そう言いながら、母親はこたつの毛布をめくる。
「いや、待て。これ、くじで手に入れたんだろ?もしその時、ここにいる誰かが立って当てたという可能性もある。よってその権利は無効だ」
そう言って私は彼女が取ろうとした毛布を足で踏み、取らせない。
「まっ、俺は一家の大黒柱だ。入る権利はある」と父親は仁王立ちで言う。
「それと同時に譲る権利もあるわ。いや、むしろそれならそちらの方がでかいでしょ?」と妹の叶菜が言う。
「そちらって俺の股間か?それとも姉ちゃんの胸か?」
「は?きんもっ!!」
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