第二章

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 すると、あっさりとその場を通り抜ける事ができた。  自分は指名手配をされているが、今は変装魔術と偽装物などにより、普通にこうして街の中を移動できている。  そこを通り抜けると、クシビは工場区エリアの一角へたどり着く。ビルや建造物の立ち並ぶ都心部とは違い、工場や煙突の立ち並ぶ区域だった。  都市を覆う巨大バリケードを通り抜け、外周区との境目にある区域だ。  工場区域であるこの場所では、黒々とした煙があちこちから立ち上っていた。その工場の全てが荒々しい造りで、発展した都市部とはまるで違っている。  その工場区をさらに移動していき、クシビが工業場の一角で立ち止ると、目の前に一人の男に話しかける。 「リョク、様子はどうなってる?」 「クシビか?」  その声に気づいた男――オオカ・リョクが振り返る。背丈が高く、温和な笑みを浮かべている。 「少しばかり異変種の発生は減ってきている。だが、収まりそうな気配はないな……。」 「そうか……」  リョクの報告に、歯がゆい思いが胸に沸くクシビ。 「そっちはどうだ? 何か手がかりは掴めたか?」 「すまない、まだ……」 「謝ることはない……。お前のおかげでここの異変種の駆除が出来ているんだ。今は、それだけでも十分さ」     
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