第二章

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 リョクが呟いた。そして、辺りを見渡す。 「この場所に住まう人達だけは、守れているんだ……」 「………」  ここは家の持たない者達の住まう場所だ。安静を求めて遠い土地から移住してきた者達ばかりだ。  ロクな手当も受けられない貧しい者達が、ここでどうにか生活をしている。  外の世界では争いの絶えない毎日だ。国同士の戦争が今も起こっている地が沢山ある。  この都市はその民を受け入れることができず、こうしてその僅か外側で暮らす日々が続いている。  こんな場所でも、今までは安静だったのだ。少なくとも、他国の世界よりかは大分マシだった。  この周地域は、それだけでも長い発展がある。  だが――そんな場所に突然、凶暴性の強い変異した魍魎が現れるようになった。  近くには工場の廃棄物や魔術生成に使われた廃棄物質が流されている水路がある。凶暴化した異変種の生物達が――そこに現れた。 「……だが、必ず尻尾は捕まえる。まだ少しばかり時間がかかるかも知れないが……お前も十分に気をつけてくれ」 「わかった……。」  リョクは頷くと、そのままクシビを見据えた。 「ところでクシビ。お前、最近大丈夫なのか?」 「なんだよ。いきなり」     
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