第二章

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 そんなことを言われたので、クシビは少し驚いて聞き返す。 「少し気になったんだ。お前は最近働きすぎて、無理をしてるんじゃないかと心配になったからな」 「別に何ともないさ。これくらいはな」 「そうか……。」  返事をするリョクだったが、内心ではどこか不安だった。クシビはこの頃になって大変な思いをしていると聞いている。  外放区が慌ただしくなるにつれて、クシビにも重荷が増えているのは間違いないのだ……。 「とりあえず、また何かあったら連絡してくれ」 「ああ、わかった」  リョクの心配も気にせず、クシビはそう言い残すと、その場を後にした。心配性な性格に、クシビは息を吐きながら背を向ける。  オオカ・リョクはアヤメと同じ訓練生時代の元チームメイトだ。訓練生時代に同じチームでリーダーを務めていた。リョクとアヤメの三人のチームだった。  そんなリョクが長年経った今では、こうしてギルドのリーダーとなっている。俺とは違い、ちゃんとした正規の術士だ。  相変わらず、人一倍の心配性なのは昔のままだ。  外周区と都市部とを隔てるバリケードが開く。巨大な門が開き、合図が出されると、そこから英装術士兵団が都市部へと帰還した。 「ご帰還なされたぞ!」  その瞬間に、わっと民衆が湧き上がる。     
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