3人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
そんなことを言われたので、クシビは少し驚いて聞き返す。
「少し気になったんだ。お前は最近働きすぎて、無理をしてるんじゃないかと心配になったからな」
「別に何ともないさ。これくらいはな」
「そうか……。」
返事をするリョクだったが、内心ではどこか不安だった。クシビはこの頃になって大変な思いをしていると聞いている。
外放区が慌ただしくなるにつれて、クシビにも重荷が増えているのは間違いないのだ……。
「とりあえず、また何かあったら連絡してくれ」
「ああ、わかった」
リョクの心配も気にせず、クシビはそう言い残すと、その場を後にした。心配性な性格に、クシビは息を吐きながら背を向ける。
オオカ・リョクはアヤメと同じ訓練生時代の元チームメイトだ。訓練生時代に同じチームでリーダーを務めていた。リョクとアヤメの三人のチームだった。
そんなリョクが長年経った今では、こうしてギルドのリーダーとなっている。俺とは違い、ちゃんとした正規の術士だ。
相変わらず、人一倍の心配性なのは昔のままだ。
外周区と都市部とを隔てるバリケードが開く。巨大な門が開き、合図が出されると、そこから英装術士兵団が都市部へと帰還した。
「ご帰還なされたぞ!」
その瞬間に、わっと民衆が湧き上がる。
最初のコメントを投稿しよう!