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それを待っていた民集達は、次々に歓声と感謝の言葉を上げる。
アヤメも、その列に混じって都市部内へと帰還していた。民集の歓迎を浴びながら、列を成して歩いていく。
昔から続いている風習で、英装術士がこの国に帰ってくる時は、こうして民衆が出迎えるように歓迎をしていたのだ。
英装述士が無事に帰ってくるという事は、また都市部が一日平和になったという事であり、都市部が安全な証明でもあったのだ。
王国だった時代からの習わしで、栄光を築き上げてきた時代には、こうして民衆全員が喜びを分かち合っていた。
昔から、そう言った風習があり、兵士の帰還はこうして歓迎を受けていたのだ。
「英装術士さーん!」
子供が自分に向かって手を振っいるので、アヤメも笑みを浮かべて手を振り返した。
サナも隣から顔を出して子供に手を振っている。今日もこうして都市部では平和な日々が保たれている。
しかし――。
こうして夢見た正規の術士に、隣で一緒に誓い合ったはずの存在がいない。
互いに励まし合い、目指している場所は同じだと思っていた――。
「………。」
そして、アヤメは兵団に戻った後でも作業を続けていた。
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