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クシビの悪評がさらに高まっている気がしてならない。このままでは、本当にどうなるか……。
クシビの悪名が広がる度に、私はどれだけ恥ずかしい思いをしているか……。
「流石はアヤメの彼氏よねえ。やることにもスケールがあるわ」
「ちっとも面白くないわよ! 犯罪者なんて」
サナが笑みを浮かべている事に、アヤメは信じられない思いに駆られた。
日に日に悪名が高くなっている気がする……。
その後、アヤメはサナと別れると、会議の報告書を読みながら歩いていた。報告書に目を通していると、気になることがいくつか目に止まってくる。
この報告は――。
「………。」
アヤメは、それを見ると足早に場所を変える。
そして、指令長の姿が目に入ると、アヤメはすぐにその事を尋ねた。
「指令長、先ほどの会議の事で少し聞きたいことがあるのですが」
「どうした?」
アヤメの呼びかけに、指令長は立ち止まって振り返った。
「また工場区に異変種の魍魎が現れたようですが、本当に大丈夫なのでしょうか?」
そう尋ねるアヤメに、指令長が答える。
「あそこは正規の術士や警護術士隊が請け負っている。我々の手の及ぶ場所ではない」
そう言われてもアヤメは気にかかっていた。あそこにはリョクのギルドもいる。クシビと同じ、訓練術士生時代からの友人なのだ。
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