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「しかし……まだ魍魎の発生が収まっていません。負傷した術士兵もいると聞きます。あそこには、住んでいる住民もいます」
アヤメが気がかりな様子で尋ねるが、指令長の意見は変わらなかった。
「確かに。だが、原因を特定する調査もこちらで行っている。今は調査部隊と警護術士隊が管理している。今の我々には他にやるべきことがあるはずだ、アヤメ隊員」
アヤメに目を向ける指令長。重要な懸案事項が山場を迎えている。
「外では未だに争っている集団が数多くいる。最近ではまた大きな衝突があった」
「は、はい……」アヤメが頷く。抗争集団の衝突は、外の世界では頻繁に起こっている。
州区域外の術士などもおり、権力争いで滅んだ国なども、外の世界には存在する。
他にも野良の集団などは、とても危険な行為をする者達も多い。
「我々にしか止められない事がある。そちらの責務を全うしなくてはならない。今は大事な時期だ。動向も活発化してきている。大規模な衝突に発展する前に、我々が止めなくてはならない」
「……は、はい」
アヤメはしぶしぶ頷くしかなかった。工場区エリアの事は気になるが、他にもやらなければならない事が突き詰めてきている。
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