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慌てて逃げ場を確保しようとするが、すでに警護術士達が周りに展開していた。
「大人しくしてください! 抵抗は余計な被害を生むだけです!」
アヤメが指示を出すと、すぐに何人もの術士が拘束魔法によって捕縛される。
「ぐあっ!」
「うわああ!」
あっという間に捕縛されていく術士達。
「く、くそお……!」
「っ――!」
それでも逃げようとした術士がいたため、アヤメは魔力を込めて、円形の巨大な魔法陣を作り出した。
それが光り輝き、辺り一面に展開する。
「う、うわああああ!」
その叫びと同時に、逃げようとした術士は一瞬にして強力な魔力の光に包まれ――その意識を失った。
「お見事ねえ。手際もいいし。まさに英雄のような活躍ぶりね」
情報屋の女が、アヤメの捕縛に対して賛辞を送る。
「………。」
クシビと情報屋は、その様子を影から観察するようにして目を向けていた。英装術士に見つからないように物陰に潜んだまま息を殺している。
今しがた、ちょうど事件についての手掛かりを追っていた所だったのだ。
「よかったの? あの違法術士、あなたの獲物だったのに」
「別にかまいやしない……」
クシビは様子を観察しながら答える。獲物をおびき寄せただけの事だ。しかし、それよりも気がかりな事がある――。
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