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「しばらく様子を見てからでもよいのじゃぞ。焦る必要もない」
ヒマリが含むような口ぶりで言うが、クシビの意見は変わらなかった。
その様子に、ヒマリはやはりとでも言うような笑みを浮かべる。
「ふん、まあお主の好きにすればよかろう。この後の事も残っているでな」
「………。」
ヒマリに何も言わないまま、クシビは用意を整えて立ち上がった。
「クシビ様、お出かけですか?」
「ああ」
「任務熱心な事よな」
ヒマリがそう言うが、クシビは無視したまま扉を開けて、そのまま目的地へと向かって行った。
「ふ、意地を貼っておるのかのう。しかし、あやつ最近こちらの嫌味に素っ気ない態度になってきたのう」
つまらん、とでも言いたげに鼻を鳴らすヒマリ。
「ヒマリ様……あまりクシビ様を揶揄するのは……」
「反抗期かのう。まあ、あいつは年中反抗期みたいなものじゃが」
シズネが止めるが、ヒマリは耳を貸さないのだった。
少しクシビの様子を気に掛けるシズネ。どうにも、最近様子が変わってきている気がする。
この任務を始めてから、それなりの時間が経過している。ひょっとしたら、それなりの気苦労も感じ来ているかもしれない――。
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