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他の術士隊員が辺りを見回しながら疑問に思っている。すでに姿を追えるような状況ではなくなっていた。そのまま棒立ちになるアヤメ。
「アヤメ隊員。先にこちらを片付けよう。まだ動きがあるようだ」
「そうですね……わかりました」
他の隊員と同様に、アヤメは作業に取り掛かる。目の前には、倒れ伏している大男達がいる。クシビが倒していった、はぐれ者の違法術士達だ。
ヤタノハ・クシビは、無所属の違法術士。
ある時、正規の術士兵だったクシビは、その称号を捨てて違法行為を行った。
理由は不明で、今も謎のままその行動だけが問いただされている。
どこにも属してない術士は、本来は魔術を行使する事を許されていない。そして、あちこちで物騒な事件を引き起こすと通報が飛び交ってくる術士。正規の術士ではない、違法の術士。
現在、ヤタノハ・クシビは指名手配中の違法術士だ――。
都市部の外である、外放区エリアの野良術士にも、恨みを買ったのかよく狙われている。
そして、サキノジ・アヤメの元チームメイトでもある。
その後、サキノジ・アヤメは任務を終えて、英装術士兵団の本部施設へと戻っていた。ひと騒動を終えた最中だが、またもやクシビを取り逃がしてしまった。
「アヤメ隊員、またすごい落ち込んでますね……」
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