第一章

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 そこへ声を掛けてくれたのは、友人であり、同じ英装術士の一人でもあるシラエ・サナだった。長い髪にヘアバンドをしている。  穏和な顔立ちでウインクをして、缶ジュースを差し出してくれる友人。アヤメも受け取るのだが、俯いたまま飲もうとはしなかった。 「また昔の友人に会ったの?」 「うん……」コクリと頷くアヤメ。 「そう、それでまた逃げられたのね……」  今度もまた成果を上げられなかったのだとわかると、サナは苦笑を浮かべる。 「まあ、仲の良かった同僚が犯罪術士になったって言うのは、確かにショックかもしれないわねえ……」  サナが心中を察するが、このアヤメの沈み具合は少し特殊なように思えた。 「無許可の魔術行使、違法物所持、器物破壊、他にも色々とやってる無所属術士の大逃亡者。ヤタノハ・クシビ」 「あああ~~~。やめてええぇ……!」  アヤメは、聞きたくないとでも言わんばかりに耳を押さえて顔を俯かせた。  かつての自分の同僚が、なぜこんな事に……! 「有名よねえ、あなたの彼氏。なんでああなったの?」 「それは過去の話よ!!」  思わず大声を上げそうになるアヤメ。即座に否定するが、やはり気分は最低だ。 「うう……。私が不甲斐ないばかりに……こんな事に……」     
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