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第一章
小雨が振り付ける中で、大きな音声が街中に流されている。
『警告、警告。魔術兵器の使用が確認されました。この区域は、退避指定区域です。ただちに、住民のみなさんは、安全な場所へと避難してください』
警報が出されている。周りの建物に被害はなかったが、遠くから煙の上がる光景が目に見えた。
「はあ、はあ……」
クシビは、その音声を耳にしながら必死に走っていた。
追っ手が――もうすぐ、ここまで来るかもしれない。
そう思った次の瞬間、炎弾が飛んでくるのを目の端で捉える。案の定、追っ手に追いつかれたようだ。
轟音と共に爆発が起こる。
クシビは、咄嗟に巻き込まれないように脇道へと身を隠し、爆発を防いだ。黒いコートが僅かに焼け焦げる。
「出てこい! てめえがいるのはわかってんだ!!」
身を隠した自分を確認してか、男が声を上げる。炎弾を放った男だ。
「もう逃げられねえぞ、袋の鼠だあっ! これで観念しなっ!」
その男の背後には、ぞろぞろ複数の男たちが群れをなしている。
最近、この辺で活動している違法術士の集団だ。
「ここに誘い込んだんだ……」
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