全ては少女の掌の上で

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魔力が渦巻き色を黒へ変え、噴き出していた光の柱が弾けるように消滅する。 公園にあった遊具や照明、木々やフェンスはもう残っていない。更地と化した場所にいるのは"四人"だけ。 黒い箱に入れられ守られた久奈。"踞って動かない朱美"。黒髪を靡かせるアマイラ。そして、 「はァアアアア…ッ!!」 翼を生やし、三本の尾を揺らし、横へ広げた両手に添えられた巨腕を作り出したリオシス。【黒臨強化・ブラックモンスター】のもう一段階上の姿。魔王リオシスの全力をもって形を成した最強の攻撃形態―――【サタンオーバー】。 「あらあら、随分面白い姿になったわねリオシス」 「黙れッ…!もうお前の声も聞きたくねえ、姿も見たくねえッ!!跡形も残さず消し飛ばしてやるッッ!!!」 形を作り出した魔力だけで周囲の空気が何倍も重くなる。動くだけで地面に亀裂を入れる最強の力を前にしても、アマイラの顔から笑みは消えない。 それがリオシスの怒りをさらに煽った。 ドンッッッ!!!!とリオシスの渾身が前に飛ぶ。全力の脚力と魔力の勢いによって押し出され、一直線にアマイラへと突っ込んでいく。 迷いのない殺気を纏い、アマイラの顔を吹き飛ばすべく右腕を、同じ動きをする巨腕を振りかぶり、突き出す。
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