魔王VS地球

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翼も腕も砕かれたリオシスは意識が朦朧とする中三本の尾を伸ばし、自分を殴った人間の腕に絡み付ける。 「……変幻自在ってわけか。まぁ魔力体だし当然だわな…」 犬の姿はもうない。あるのはオレンジ色に輝く巨人の姿だ。筋骨隆々の形はノームの人形の姿にも似ている。 腕に絡み付けた三本の尾が真っ直ぐ伸び、ゴムのように縮めた勢いを加速させリオシスはノームへ一直線に返ってきた。 壊された腕も翼も再生し、漆黒の輝きを放ち、ノームの拳へ両腕両翼を叩き込ませた。四つの攻撃が着弾し、その全てから繰り出された【ブラックアビス】がノームの左腕の肘近くまでを破壊。 これで頭部と片腕分の魔力を削いだ。 だけど、まだまだノームの魔力は残っている。破壊したのがほんの一部だけだとわかったリオシスは呆れて笑ってしまい、再生した左腕に二度目の殴打を喰らう。 (わかってたことだ、この程度じゃ意味がない…こんなことを続けても俺の魔力が百パーセント先に底を突く…) それでも、全力の黒魔法をぶち当ててノームの土の魔力を減らしていく。こちらが消費した分とノームが消費した分ではあまりに割りに合わない。 『貴様は強い。地球相手によくやった方だ』 粉砕される。 殴られる。 吹き飛ばされる。 力の差は、絶望的なまでに縮まることはない。
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