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ノームは言葉だけでなく力でも現実を見せてくる。減らず口ならいくらでも叩ける。でも結果が出ない。自分の敗北という未来像を拭い切れない。
『貴様の究極魔法、確か虚無魔法とか言ったな。何故あれを使わない?あれならば私とも互角にやりあえる可能性があっただろう』
「………虚無魔法は…魔力消費が馬鹿にならねえんだ…それに、【黒臨強化】との併用は出来ねえ。【黒臨強化】は今は宇宙服の役割もあるからな…解除したら俺はこの空間で生きていられないかもしれないんだ、解除するわけにはいかねえだろ…」
『なるほど、悉く失敗したな、魔王リオシスよ』
巨人のエルボーに全身を叩かれる。最強の強化状態でもそう何発も堪えられない、今の一撃でリオシスは完全にグロッキーになってしまった。
『最早貴様に勝ち目はない。いたぶる趣味もないから安心しろ、一撃で息の根を止めてやる』
拳に掴まれるリオシス。意識を保つので精一杯の彼には、もう拳を壊す力もなかった。
「………虚無魔法が使えたら、もっと簡単にやれたんだろうなぁ……けど、虚無魔法が使えても、俺は使う気はない…」
『何故だ?』
「お前の中には……会長の魔力がある…それまで消しちまったら、会長は元通りの人生を歩めない……あの人の人生を奪うなんて、俺には出来ねえ…」
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