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瞳だけではなくリオシスの全身から金と黒が迸り、ノームの体を包み込むような光の大爆発が起きた。その凄まじい光は地球の大地にいる生物たちも目視が出来るほどの規模。
束の間青い空を暗い空を金色に染め上げた光はやがて消失。星の如く地球の外側で煌めきを放つ程度に小さくなった。
『………気のせいであってほしかった』
切実な思いを言葉にして吐き出したノームは、目映い金色に照らされながらそれを見る。
『「箱庭」の住人が成し遂げるなど不可能だと信じていた。"あの一瞬感じた気配"は間違いなのだと願っていた。貴様がどれだけ破格で異常でも、絶対に無いと信じたかった』
金色の光の奥には黒が揺らめいている。黒の上に金を纏う姿を受け入れたくない思いで見つめる。
『だが貴様はやってのけた。「箱庭」で生まれた存在が出来るはずがないと思っていたのに、貴様は今こうして実現してみせた』
ちっぽけな存在はその殻を破った。
それがどれだけの偉業なのかなんて、きっと彼は気づいていない。
『感服する。―――貴様は今、神の領域に立ったのだからな』
神ならざる身にて神となる。
今、魔王は魔王を捨て、精霊たちが崇める存在と同じステージに立った。
その力、その姿は『彼ら』の間でこう呼ばれている。
『―――「神格化」。それが貴様が手に入れた神の力だ』
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