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『がッ……ぅ…、き、貴様…!?』
「俺の目当ての一つはこれだ。そんでここからは残る一つ―――お前を消すことを実行しよう」
金が鋭く煌めき、黒が振り返る。
「だいぶ掴んできたぜ。まだ不安定だったが、ちょっと本腰入れてみるか」
体を曲げる。全身に力を籠めるために。
ただ放出されていただけの金色の魔力が内側の黒色の魔力と混ざって渦巻き球体となる。縞模様の球体は一度だけ膨らみ、そして凝縮される。
中心のリオシスに。
それによって、不鮮明だった姿がようやく露になっていく。
『……………』
異質さがさらに増した姿を目にしたノームは静かに悟った。
眼界に君臨する世界の覇者。神の領域に立った魔王………その力を。
「終わりにするぜ、ノーム」
『……来るがいい、もう十分理解した』
言って、咆哮を上げたノームは地球から吸い上げたありったけの魔力を全身から一斉に押し出される。地球の五分の一は消せるであろう莫大な力を宿した光がたった一人に向けられる。
回避など不可能。かわせばどうなるのかなんて言われなくてもリオシスはわかっている。
自分の背後に浮かぶ青い星。あの魔力をどうにかしなければ地球に激突し、地球上の生物のほとんどが死滅する。最悪、地球そのものが砕け散ってしまう可能性だってある。
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