周回遅れ

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ひょこっと胸ポケットから頭を出したのは、妖精のシュリンくらいの背丈の青髪をサイドで束ねたオーバーオールを着た少女。 そいつを見てギョッと目を向くみんなの中で平然としているのは四人。俺と田上っち、綾坂会長に勇者だけだ。 「勝手に出てくるなって言っただろウンディーネ」 「そんなつれないこと言わないでよ龍一くん。あたしはただ龍一くんと仲良くしたいだけなんだしさ。まぁ龍一くんが行くならあたしは無条件で着いていくけどね~」 「なっ、何こいつ!?あんたいつの間にそんなの捕まえたわけ!?」 「そんなのとは何かしら小娘。あたしはこれでも元精霊なのよ?崇めなさいよ」 朱美ちゃんを適当な調子であしらうのは、先日俺と田上っちで倒した水の精霊ウンディーネ。 何故こいつがいるのか……の説明の前に、もう一人紹介しておく必要がある人物がいる。 「お前も出てこいシルフ。みんなに説明しないといけないから」 「そういうことなら仕方ないわね」 声は綾坂会長の手首から。会長の手首には緑色のブレスレットがあり、声はそのブレスレットから出てきた。 そして、目映い光を放って姿を変えて現れたのは緑の髪に同色の羽織をかけた少女だ。 「初めまして、魔王の友人さんたち。私の名前はシルフ、彼女と違って正真正銘の精霊よ」
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