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「その魔力、覚えがあるね」
口を開いたのは桐弥っちだ。驚きはあれど誰よりも早く冷静になり、ウンディーネとシルフを交互に見る。
「扇くんたちが戦っていた時に感じた魔力と同じだ。ということは扇くんたちの敵だったはずだけど、どういうことかな?」
「まあいろいろとあってな。詳しい話は別の機会に話すよ」
もっとも、その話の内容をみんなに聞かせるつもりはないのだが。
「そっ、この魔王に話をする前に半殺しにされたとかいうのは置いておくとして、もう私たち精霊は事情があって敵じゃないの。それだけ納得してくれればいいわ、勇者パーティーさん」
「………扇くんや勇者が敵じゃないって言うんなら、納得するけど」
「それでいいのよ」
「あたしに関してはもう精霊と呼んでいいのかわからないくらい破壊されちゃったからね。今の魔力量じゃコップ一杯の水も出せないし。だから精霊のお役目が果たせないから、あたしは龍一くんの可愛いマスコットになったの。ねー龍一くん?」
「勝手に着いてきたんだろうが…」
「その辺の話はいいさ。とりあえず今日はパーティーなんだ!みんなで盛大に騒ごうじゃない!」
何一つ説明されていないみんなは腑に落ちない顔をするだけだったが、精霊シルフから言われた内容はあまりに現実離れし過ぎている。話したところでなんの意味もないのだ。
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