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「じゃあ話は終わり!午後の授業を乗り気って、楽しいパーティーをしようよ。解散解散~」
「呼び出しといて雑過ぎるでしょ」
朱美ちゃんの言葉をスルーして手を叩いて解散を促す。
するとその時、
「あ、あの、ちょっといいですか?」
手を上げたキャワイイ三つ編み女の子のヤーちゃんに視線が集まる。
「その……先輩たちにどうしても話しておきたいことがありまして…」
「何何?恋バナ?」
「ちっ違います!真面目な話です!」
怒った顔も可愛い……というのはいいとして、俺は小首を傾げてヤーちゃんを見つめる。
ヤーちゃんは一息つき、真剣な表情で口を開く
「久奈ちゃんの恋バナは興味あるねぇ。そう思わねえか?兄弟」
前に。
俺の肩に腕をかけ、至近距離で言う誰かが現れた。
「ッッ――!!?」
「おっとストップだ」
振るった俺の右腕を軽々と止めて言う男は柔らかい口元の笑みを消さないまま続けた。
「シルフが話しただろ?俺たち精霊はもう仲間なんだ、だから落ち着けよ、兄弟」
俺とそっくりな顔でそいつは言う。
息を飲むみんなに気を向ける余裕はなかった。
「……なんの用だ、ケノン」
魔物たちの魔力で作られた新しい存在。闇の精霊ケノンは俺の顔でにこやかに笑いながら言った。
「久奈ちゃんの恋バナを聞きに、かな?」
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