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それを本気で言っているのならこいつは大物になるだろう………仮に本気だとしても、冗談だとしても、生憎今の俺はこいつの陽気なテンションに付き合う気はなかった。
「真面目に答えろ、さもないと消し飛ばすぞ」
「おいおい学校だぜここ。お前が暴れたら何十人と死んじまうじゃねえかよ」
「テメェのせいでサラマンダーを逃がしたんだぞ。テメェが邪魔してくれたおかげでな。学校だからなんだ、被害が出る前にテメェを消すなんざ雑作もないんだぜ?」
指が鳴る。瞳の色が黒から金へ変わる。俺の空気を察知して息を飲むみんなには悪いが、俺は剥き出しの敵意を引っ込める気はなかった。
「やめなさい魔王、もう私たち精霊はあなたと構えるつもりはないの。ケノンも戦う気はないわ」
「だから?それで俺が笑顔で迎え入れるとでも?悪いがそこまで温厚な性格してないんだよ俺は」
「今のあんたじゃ勝てないってわからないの?あんたが死ねば簡単にケノンを倒せるかもしれないけど、あんたが復活するまでに何回ケノンがあんたを殺せると思うのよ」
「"『ロック』の話をしてるなら、今の俺にはもうなんの問題もねえぜウンディーネ"。―――…つーか、さっきから誰にモノ言ってんだ?お前ら」
ズルリ…と。体から滲み出た這いずるような殺気が屋上の地面を伝い広がっていく。
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