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みんなには届かないよう配慮はしているが、それでもなんの影響も受けないわけがなかった。
「お、おい扇、ちょっと落ち着けよ…」
「無理だね。言っとくが俺は田上っちたちと違ってまだこいつらを受け入れてないんだ。事の発端はあのサラマンダーの糞野郎なんだよ、"どこの誰かもわからん奴に消された"からって、俺の恨みが晴れるわけない」
「……気持ちはわかるぜ兄弟。だが今はそんなことしてる場合か?俺たち精霊を消すならそうすりゃいい。けど『奴』の情報を誰よりも知ってんのは俺たちなんだ、ここで消せばいずれやってくる『奴』への準備なんて出来ねえぞ?」
「果たしてそうかな?」
「どういう意味?」
「『神格化』が出来るようになった今の俺でも敵わないって言うんならお前らを生かす価値はあるだろうが、正直言ってもう誰にも負ける気がしない。相手がお前ら精霊が最も恐れるような奴でもな」
『神格化』という単語に過剰な反応を示した精霊たち。そんな様子を眺める俺は首を傾けて骨を鳴らし、
「どれほどの物か見せてやろうか?今、ここで」
ズバチィッ!!!と右腕から黒い稲妻が迸った。その変化を見たケノン、シルフ、ウンディーネは堪らず息を飲むが、
「……無理だろうぜ、きっと」
「何?」
「お前が本当に『神格化』出来たとしても、恐らく勝てねえ。それだけ異常な相手なんだ、精霊の俺たちが言うんだから間違いねえよ」
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