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どうやらケノンとヤーちゃんはすでに接触していたようだ。俺たちが精霊と戦った前か後かは知らないが、ヤーちゃんの口振りからしてケノンとは少し話もしているらしい。
「ヤーちゃんが気になるってのはどういう意味だ?」
「あの魔王が目をかける人間なんだぜ?興味を持つのは当然だろ。それに可愛いし」
「それは確かに」
「やめてくださいそういうこと言うのっ!」
注意されてしまった俺とケノンは頭を下げて謝罪。そんな光景を見ていたこの場にいる全員が同じことを思っていたようだが、俺が気づけるはずもない。
『(そっくりだな…)』
「というわけだ兄弟。久奈ちゃんに興味があるのはお前がやたらと面倒見てるのはなんでだろうなーってこと、"それだけだ"」
「ヤーちゃんに変なことしたらぶっ殺す。あと俺より親しげに名前で呼ぶんじゃねえ」
「許可は出てるもんねー。んじゃ、俺はこの辺りで失礼するぜ。俺はウンディーネやシルフと違って自由に動き回りたい派なんだ。『箱庭』をじっくり探険したいからな」
全身を黒い光にして弾けさせ、ケノンは言うだけ言って姿を消してしまった。
まだ今一掴み切れていないケノンの中身が気になるが、それはおいおい探っていけばいいだろう。
「なんだかややこしくなってきたけどとりあえず今日はパーティーを楽しもうよ!」
「簡単に言ってくれるわね、このもやし魔王は…」
〇
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