周回遅れ

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午後の授業も何事もなく過ぎていき、お待ちかねの放課後。パーティー開始までにはまだ時間があるが、魔王臣下たちが人間界に来るということで少々準備がいる。 「刀野さ~ん、一緒に帰ろっ」 「ああ、わかった」 学校から直接パーティー会場に向かうので校庭で一旦集合した後に向かうから、カバンを背負って刀野さんと一緒に教室を出て校庭を目指す。 「場所は遠いのか?」 「んー、バスは使うかな?歩いていくのも時間かかるし」 「なるほど」 『空間転移』であっという間に…という手もあるんだが、今の俺の魔力じゃ全然足りないのでその案は無しだ。無闇に魔法を使うのはよろしくないし、町中での魔法の使用は禁止されている。正直、今さらって話だが…。 「真代くん」 不意に呼び止められ、俺と刀野さんは一緒に振り返る。呼んだのは我が担任の先生にして俺の女神、福吉 恭子先生だ。 「なんですか?」 「ごめんなさい、ちょっとだけ時間もらえないかしら」 「?まぁ、ちょっとだけなら。それに俺も先生に用事があったし」 「あ、じゃあちょうどいいわね。刀野さん、少しだけ待っててもらえる?」 「了解しました。真代、先に校庭に行ってるから」 刀野さんと一旦分かれ、俺は恭子先生の後に続いて無人の教室へと足を運んだ。
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