周回遅れ

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「てなわけで、俺の話は以上です」 「じゃあ次は私から。真面目な話だから、しっかりと答えてね」 真面目な話と言われて「告白かな!?」と言おうとしたが、恭子先生の表情は真剣というよりはやや険しい物だったので黙ることにした。 「真代くん、先日町中で戦った敵について聞かせて欲しいんだけどね」 「あれはテレビで放送された通りですよ、"魔物との和解協定に反発した人間が作った意味不明な生物"だって」 魔王と勇者が揃って町のど真ん中でのドンパチしてたら当然ニュースになる。そして、相手が世界を監視する魔力で出来た精霊という存在だなんて言えるはずもないので、勇者と考えてあり得そうな話をでっち上げたんだ。 人間でも魔物でもない人工的な何か。勇者がはっきりそう言ったので一先ず納得した人間界だったが、どうやら恭子先生は違ったらしい。 「本当はなんなの?あれほどの魔力を持った作られた生物なんて考えられないわ。だってあの魔力量は勇者パーティーの人たちよりも巨大だったし、魔王のあなたがいるのに魔物が攻めてきたとは思えない。……お願い、本当のことを教えて真代くん」 「…………」 目を細めて恭子先生を見つめる。果たして先生に話していいものか。下手に負担をかけさせるわけにはいかないし……。
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