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「………禁じられた愛……あなたなら、受け入れてもらえるかしら…」
頬を染めた恭子先生が何を思い、何を呟いたのかなんて、わかるはずがない―――。
〇
バスに揺られて移動してきた俺たちはパーティーを開く場へとやってきた。
どこかのホテルのフロアを貸し切り……なんてことはさすがに出来ないし、魔王臣下がやってくるのだから人目に付くような場所は絶対ダメだ。元々許可なく魔物が人間界に出入りするのを禁止されている魔界と人間界の協定を提案者の俺がソッコー破っているのだから、大々的に公共の場を使うわけにはいかない。
なので、知り合いに頼んで場所を提供していただいたのだ。
「ここ、魔法医の研究所じゃない。私前に着たわ」
「そうだね、夏祭りの前に朱美ちゃんと着た場所だよ」
場所を提供してくれた知り合いが働く研究所。ここの一角を今回使わせてもらうわけで、その知り合いってのが……、
「ようこそ!待っていたよ真代くん!」
にこやかに笑う白衣を着たこの男、魔法医第三研究所、管理責任者である海柳 一馬(うみやなぎかずま)だ。
「久々だな海柳、今日はありがとうな」
「魔王の頼みだし、友人の頼みでもある。それに勇者や勇者パーティー、さらには魔王臣下までお目にかかれるんだからこっちこそ礼を言うべきだよ」
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