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「せ、先輩、あの人って確か…」
「うん、どうやらそうみたいだ。正直生きてるとは思わなかったが、相変わらず目は死んでやがるな」
「ハハッ、酷い言われようだねスター」
「その呼び方はやめろと言っただろう」
―――かつて大いなる野望を掲げ、全世界でテロを起こしていた組織『アストライオス』。その日本支部のリーダーをしていた男。名前は深星(みほし)だったか?
「彼のことは秘密で頼むよ。バレたら間違いなく刑務所行きだからね、間違ったことをしていたとしても僕の友人なんだ。もう彼は昔の彼じゃないからさ」
「わかってる、今さらとやかく言う気はねえよ。それに、やってたことは間違ってても考えは正しいと思ってるし」
「キミが私の考えを肯定してくれて嬉しいよ。煩わしいだろうが、キミには期待している。私たちの悲願を少しでも叶えてくれるとね」
「この魔王に任せとけ。時間はかかるだろうが、少しずつでも前に進める気だからよ」
「フッ、やはり偉大な魔王さまは言うことが違うな。キミなら実現出来そうだと思えてくるよ」
薄くだが確かに笑った深星にニッと俺も笑い返す。完全に置き去りでなんのことだかわからないみんなの様子に気づいた深星は、
「準備は完了した。料理が来たら随時運び入れるから、飲み物でも飲みながらキミたちはここで待っているといい」
「そうさせてもらうぜ」
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