周回遅れ

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ヒラヒラと手を振って部屋の奥へと進んで行き、みんなを中へ誘ってゆっくりするようにと言う。 注文した料理が届くまでもう少し。なら、そろそろ呼んでもいい頃かな? 「みんな、ちょっと俺席外すね。今から魔王臣下を呼んでくるから」 「い、いよいよか…」 「シュリンちゃんとは会ったことあるけど、他の魔王臣下は初めて生で見るわね」 田上っちと朱美ちゃんの言葉が全てを物語っていた。他のみんなも同様に緊張した様子で、唯一平然としているのは勇者と桐弥っちだけだった。 その気持ちもよくわかるので、一言安心させる言葉を残して会議室を出る。会議室の外で料理が届くのを談笑しながら待っていた海柳と深星に魔王臣下が来ることを伝えると海柳が露骨に目を光らせた(深星の目は死んでるのでなんの反応もなかった)。 研究所内の一定空間にだけ魔力結界を張り、魔力が外に零れないようにしてから【空間転移】のゲートを開ける。 「いいぞシュリン、あいつらを呼んでくれ」 〈りょーかい、まおーさま〉 渦巻く黒い円。そこを通して日本の家にいるシュリンに指示し、家を経由して臣下たちをここへ移動させる。絶対に人目に触れないし、魔力を感知されないように対策もしっかりと練っている。 だから、魔界最強の臣下五人が来てもなんの問題も発生したりしない。
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