叩いたら割れそうな僕らの関係はこうして始まった

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叩いたら割れそうな僕らの関係はこうして始まった

 運命的なことって、この世の中にどれくらい転がっているのだろう。  僕は考える。  案外と、道端に落ちているエロ雑誌とか、片方だけの長靴とか、ハンバーガー店の空き袋だとか、運転していて見かけるそれらと同じくらいの頻度で、そこそこに落ちているものなんじゃないのだろうか、って。  見つけても、そんなもの、誰もわざわざ停車して拾い上げたりはしない。  だけど、拾って逆さまにした長靴からリングが転がり出てきて、それをきっかけに物語がはじまる可能性だって、なきにしもあらずだって思う。  それは、手にして初めて、その必然性に気づく。  うまく言えないけど、運命って、そういうものなんじゃないのかな。  僕は、ロータリーに立っていた。  この街唯一の私鉄の駅前のほうじゃない。  まるで遅刻ギリギリの生徒を、さぁ急げ! まだ間に合う! と送り出すように、昇降口の手前まで大きく湾曲したそのカーブの先端で、横に停めた愛車のボンネットに手を置いていた。  空を仰ぐようにしていた首の角度が、そろそろ限界。  だけど、そのだるさにさえも郷愁を感じるもんだから、どうしようもなく、ただのでくのぼうみたいに、僕はそこに突っ立っていた。  彼女に再会したのは、そんなときだ。
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