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「美也子……?どうする?帰ってもいいよ、また企画するし」
こそっと志乃が耳打ちしてくれる。それに微笑みで返してから、美也子は彼氏を真っ直ぐ見つめた。今まで感じたことのない感情を、美也子は祐希に抱いていた。愛情とも友情とも違う、もっと暖かい感情。そう、コタツのように。
「祐希」
「美也子……」
祐希もまた、美也子に対してコタツの暖かさのような感情を抱いていた。同時に、付き合っていたとき美也子にした行動と別れ方を、改めて反省していた。あれはあまりにひどかったと素直に思えた。そして美也子はそれを感じ取った。美也子は祐希に笑いかけた。祐希もまた、美也子に笑いかけた。
「志乃、自己紹介始めよう?」
「え?あ、うん」
ようやく緊張がほどけ始め、みんなの自己紹介を聞きながら美也子は思った。もう一度よりを戻してもいいかもしれないと。祐希はきっと、前とは違う。そう信じられる何かがあった。
コタツの中で、二人の足が優しく触れた。
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