橋本妙子の回想

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 公園で理科の中田先生に似た鹿を見つけたけれど鹿と私たちの間には小さな小川が横たわっている。川には置き石があって渡れるようになっている。  明美ちゃんは一つ目の石の上にポンと飛び移った。 えっ、そんなの怖いよ。私、飛べない。 「大丈夫!」こっちを見ている明美ちゃんの顔がそう私に話しかけているようだった。  明美ちゃんは私の方に手を差し出した。明美ちゃんは私が怖がりなのをどうしてわかるのだろう? 「えいっ」恐る恐る私は明美ちゃんの手を掴むと思い切って石の上に飛び移った。 「明美ちゃん、絶対に私の手を離さないでね」  石の上に渡ると私は震えながら言った。少しぐらぐらする。 「離さない。友達の手は絶対に離さない」  そう言う明美ちゃんの声が聞こえた気がした。  私の手を掴んでくれたのがすごく嬉しかった。私の手をこんなにぎゅっと掴んでくれたのは明美ちゃんが初めてだった。  私も、ずっとこの手に掴まっていたい。  明美ちゃんもそう思っていてくれたら嬉しいな。  土産物屋があったので家のお土産を買った後、明美ちゃんとお揃いの鹿のマスコットが付いたキーホルダーを買った。  これはずっと大事にしていよう。
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