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第三章 悪魔と笑顔
~あぜ道にて~
鷹が気持ちよさそうに畑の上を飛んでいる。
「何でついて来るんだよ」
その下でみるるが不機嫌そうにフラルと老人に言った。
「・・・」
フラルは何も言わない。
ただ黙ってみるるを見ている。
「なんか言えよっ!」
いらいらしてみるるが怒鳴ると、フラルは目にいっぱい涙を溜めた。
「ついてっちゃ、駄目なの・・・?」
蚊の鳴くような声でフラルが言う。
「迷惑・・・?」
みるるはぎょっとした。
「迷惑って・・・別に迷惑じゃないけどさ・・・お前、帰るとこあんだろ?」
フラルは首を振る。
「・・・家族は?」
また首を振る。
「・・・恋人・・・」
フラルはしくしく泣きながら首を振った。
「・・・帰るとこ、無いのか・・・」
フラルは俯く。
「じゃあ、しばらくは僕と一緒にいる?」
みるるがそう言うと、フラルは困ったような泣きそうな顔をした。
「ごめん・・・」
このとき、とうとうみるるの辛抱が尽きた。
「うおらああああ!!この顔だけアックマン!!!」
ぱっと飛び上がりフラルを頭上から押さえ込む。
そのままみるるはフラルを地面に叩き伏せ、腕で首の関節をキめた。
「ぎゃあああ!はいってるって!折れちゃうよ~!!」
フラルはばんばんと地面を叩く。降参の仕方は知っているようだ。
「うるせえ!てめえは僕と一緒に居たいのか居たくないのかはっきりしやがれ!!」
「い、居たいよ・・・痛いよ~!!」
やっとみるるからフラルは開放される。
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