第三章 悪魔と笑顔

2/2
前へ
/25ページ
次へ
「ひどいじゃないか・・・。突然チョークスリーパーなんて・・・。どこかの格闘家かいみるる・・・」 ふん、とみるるはフラルを鼻で笑った。 「とにかく、一緒に来るんだろ?」 フラルが頷いたその時。 みるるにはフラルが笑ったように見えた。 でも。 実際は、フラルはぎこちなく顔を歪めただけだった。 「・・・それ、笑顔?」 困ったようにフラルは頬を掻く。 「笑えないんだ」 みるるがきょとんとした。 それを見て、何故かフラルはみるるが可愛いと思える。 「悪魔だか。」 みるるは困ったように笑った。 「ま、いいんじゃないの?個性的で。・・・それとも、笑ってみたいの?悪魔さん」 フラルはみるるを見る。 「・・・うん」 それ以上みるるは何も言わなかった。 フラルも何も言わない。 「笑いたければ、泣かないことだな」 サルマタの上に真っ赤なマントを身に着けた老人が言った。 「フラルはどうも、泣きすぎのようだ。わしが見ている限りでは、だが」 老人は頭の上に乗せた王冠の位置をなおす。 「笑う努力と泣かない努力は、同じものだぞ」 みるるは思う。 せめて服を着て言って欲しかった、と。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加