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「ひどいじゃないか・・・。突然チョークスリーパーなんて・・・。どこかの格闘家かいみるる・・・」
ふん、とみるるはフラルを鼻で笑った。
「とにかく、一緒に来るんだろ?」
フラルが頷いたその時。
みるるにはフラルが笑ったように見えた。
でも。
実際は、フラルはぎこちなく顔を歪めただけだった。
「・・・それ、笑顔?」
困ったようにフラルは頬を掻く。
「笑えないんだ」
みるるがきょとんとした。
それを見て、何故かフラルはみるるが可愛いと思える。
「悪魔だか。」
みるるは困ったように笑った。
「ま、いいんじゃないの?個性的で。・・・それとも、笑ってみたいの?悪魔さん」
フラルはみるるを見る。
「・・・うん」
それ以上みるるは何も言わなかった。
フラルも何も言わない。
「笑いたければ、泣かないことだな」
サルマタの上に真っ赤なマントを身に着けた老人が言った。
「フラルはどうも、泣きすぎのようだ。わしが見ている限りでは、だが」
老人は頭の上に乗せた王冠の位置をなおす。
「笑う努力と泣かない努力は、同じものだぞ」
みるるは思う。
せめて服を着て言って欲しかった、と。
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