第四章 老いた王族

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「で、爺さん、あんた名前は?」 みるるは老人に向直って言った。 「『王様』」 は?とみるるは老人に聞き返した。 「本名なんて、どうでもいいじゃないか。それより、あだ名で呼び合おう!ああ、こういうの憧れだったんじゃよ・・・。」 うっとりと自分の胸に手を当てる王さまにみるるはうさんくさそう、という目を向ける。 「では、みるるは『白狼』な」 どさくさに嫌なあだ名つけられてるみるるは気付いた。 「いいよ、僕は『みるる』で・・。」 みるるは苦笑して王さまに言った。 「じゃあ俺はね、『プリンセスダーティー』」 「滅茶苦茶じゃあっ!ちょっとディ○ニーに土下座して来いテメェ!」 みるるはフラルのわき腹に鉄拳を叩きこんだ。 「ふーん。それにしても『王さま』ねぇ・・・。そういえば、このあたりを治めてる王(注:公爵の事)が最近政情不安定でクーデターきメられそうだってうわさ聞いたけど、まさかそれアンタ・・・」 みるるが王さまを見上げると、王さまはびっしりと油汗をかいている。 「・・・悪い・・・今のは忘れてくれ・・・」 みるるも少し汗をかいて王さまにそう言った。 ~あぜ道にて~ 「はあ、はあ、やっと追いついた・・・」 「ったく、どれだけ足が速いんだ、あの三人は・・・」 二人の人影は頷きあった。 ~あぜ道にて~ 「いや、別にわしがいなくても大丈夫な国だし」 ぼそりと王さまが言う。 「ああ、そりゃあ良い国だな」 露出狂の王の国のくせに。 こっそりとみるるは心の中で付け足した。 ノロウタメノ クチビルデナク ヒトヲワラワス ココロヲクダサイ アクマノイノリモ ココロニトメテ ドウカドウカ カナエテクダサイ 『”かすかな祈り”より抜粋』
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