第五章 鬼はプリンセス

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第五章 鬼はプリンセス

~大衆食堂にて~ ちゅる、とみるるはスパゲティの最後の一本を口に含んだ。 「で?あんたがたは僕になにをして欲しいって?」 みるるは口いっぱいに含んだスパゲティを租借する。 なんだかハムスターみたいで可愛い、とフラルが口にするとみるるはフォークでフラルのおでこを迷わず衝いた。 「おおおおおっ!」 「東の洞窟に鬼が出るんです。それで、貴方に退治していただこうと・・・」 額を押さえて転がるフラルには見向きもせず二人の男は地図を広げる。 「鬼?そんなもの存在しないよ。あれは日本人が体の大きなコーカソイドを見間違えただけで・・・」 「黙れ自称悪魔。ちなみにコーカソイドとは所謂白色人種だ」 みるるは迷い無くフラルの腹に拳を叩き込んだ。 「ひどいぞみるる!そんなにフラルを殴らなくっても・・・」 みるるの目の前に全裸の老人が立ちはだかった。 ひく、とみるるの頬が笑った。 「てめえ服買って来いって言っただろうが!しかもなにサルマタまでぬいでやがる!!生まれたままの姿の君を生まれる前の姿にするぞゴルァ!」 きゅう、と膝を引き絞り。 華麗にみるるは後ろ回し蹴りを王さまにきめた。 「ったく、フラルは普通のかっこうしてるってのに・・・」 フラルは王さまと一緒に服を買いにいって、ジーパンとシャツを身に着けていた。 襟首から全身タイツがちょっと見えているがまあ、普通の・・・いや、かなりの『美』青年に見える。 「鬼、ねぇ・・・。何か、もっとこう、はっきりとした名称は判らないのか?精霊系、とか、動物系、とか・・・」 二人の男は首を振る。 「速過ぎて、判別できないんだ。もう村の人間が何十人も殺されかかってる。なんとかしてくれないか」 「速過ぎて、か。不吉な言葉だな」 みるるは二人から視線を外してフォークをいじる。 「礼ははずむぞ」
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