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「うおのわあああっ!」
みるるは驚いて飛び上がり、横にいたフラルの顎を肘で打ち抜く。
「び、びっくりしたー…。そういう事は早く言ってくれよ…」
みるるはまだ鼓動の早い心臓を胸の上から手でおさえて死体の前にひざまずく。
そのミイラは司祭服をまとっており、賢者の位を持つ魔術師の死体であることが判る。
肩できっちりとそろえられた、輝きを失っていないブロンドの髪と足に履いたうさぎさんスリッパが奇妙であったが、それはなかなかに痛ましい魔術師の姿であった。
「使い魔の好物は主人である魔法使いの血液だからな。全て吸い取られてしまったのだろう」
王さまが言う。
みるるはミイラに手を合わせた。
「賢者まで上り詰めた人なのに…自分の大きすぎる魔力を利用されて、自分の使い魔に殺される、か…。皮肉なもんだな」
みるるは少し目を閉じる。
「いやあ、それがね、魔力が大きすぎて死ぬに死ねないんですわ」
ぼそりと、ミイラが、言った。
みるる以下三人、ぱちくりと目を瞬きさせる。
「うわあーっ!ミイラが話してるー!!」
と、悪魔が怯えている。
「ん?そこにいるのはポテンテイアの王さま(注:公爵の事)じゃないか?」
ミイラが王さまを見て言った。
「うん?おまえさんもしかして…清散華か?この間薬学博士をとった…」
「そうそう。それが五つ目の博士号で、大賢者の資格をもらったんだよ。祝って」
「そうか。おめでとう」
ぱちぱちと王さまが拍手をする。みるるはにっこり笑いながらコルトの安全装置を外した。
「で?あれはなんですかな、大賢者殿」
みるるはにこにこ笑いながらコルトでチンパンジーを示す。
「ああ、あれはね、魔術の粋を尽くして作ったピーター君だよ。何もかもに関して優秀に作ったのはいいんだけど、ちと凶暴になってしまってね。強すぎて私の手にも負えんのだよ。あっはっは」
「はっはっは。そりゃケッサクじゃのう」
「あっはっはv」
大笑いする二人を見ながら、みるるは青筋を浮かせて笑いながらコルトの撃鉄を起こした。
「あっはっは。何故そこの騎士さんの銃口がこちらに向いているのかな?」
「あっはっは。よけろ清散華!」
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