はじまり、はじまり

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~大通りにて~ 「どろぼーっ!!」 宝石店の透明なガラスをぶち破って少女が大通りに転がり出る。 「撃て、撃て、撃てーっ!!」 店の主人がガードマンに銃の安全装置解除を命ずる。 じゃこじゃこじゃこ、と銃の撃鉄が起こされた。 「へっ!」 不敵に笑い、少女は腰に下げた大きな剣を抜く。 「『行』くよ・・・アルベルト」 少女は剣に口付けた。 ~牢の中で~ 薄暗い牢の中に少女が投げ込まれた。 「いってえなあ!もっと生優しくしやがれ!!」 牢の錠が下ろされる。ちっ、と少女は舌打ちした。 「あーあ、ツイてねえ・・・」 少女は自分の美しい長い赤髪を解いて枕代わりにする。 ごろん、と寝転がると牢の中に先に入っていたらしい青年と目が合った。 「・・・!」 青年は大きな青い瞳を震わせて身を縮める。 「ァん?」 少女が不機嫌そうに目を眇めるとさらに怯えて壁際にずり上がっていった。 「・・・お前、ちょっとこっち来い」 少女が手招きすると青年は素直に少女の方に近づく。 薄明かりに照らされて、青年と少女の容貌がはっきりと見えた。 「お前・・・」 少女は言葉を失う。 今まで色んな男前を見てきたが、これほどの美しい顔には出会ったことが無い。 透明な青い瞳に透けるような金髪。 彫りが深いが嫌味の無い顔立ちは芸術品としか言い様が無い。 陶磁器のような白い肌はきめが細かくて女としては妬みを抱くほど綺麗だ。 「が・・・がおっ!」 青年は突然立ち上がって手を振りかざし噛み付くような素振りを見せた。 「お、俺は悪魔だ!怖いんだぞー、強いんだぞー!!」 ゆら、と少女の体が動く。
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