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「むっ。初対面の相手に失礼な」
「失礼なのはてめえだ。純情乙女にきたねえモン見せるんじゃねえ。裸の王様か貴様」
「そのとおりだ。お初にお目にかかる。この辺りを治めている者だ」
「フカシはいいから服着ろてめえ。なんでこの牢には恥ずかしい奴しかいねえんだ」
「フカシではないぞ。ほら王の証しのこの王冠。この真っ赤なマントも絹だぞ?」
「マントを着るより下着をはけ。シャツを着てズボンをはいてそれからだよ王冠は」
「むむっ。わがままな少女であるな」
「そういう問題じゃねえ」
仕方ねえな、と呟いてみるるはごそごそと懐をさぐる。
「ほら、サルマタだ。やるよ」
老人はサルマタを受け取って眉を寄せる。
「・・・なんで純情乙女がこんな物持ってるんだ」
「馬鹿野郎。アオ○ンしたとき下着の代えが無いと困るだろうが。自分も相手も」
ええっ、とフラルが声を上げる。
「別に女の子が用意しなくてもいいんじゃない?っていうか、この話題恥ずかしいよ。俺とこの人の格好以上に」
「ちちち、わかってないなあ。そういう気遣いが大事なんだよ、ラブハンターは。男性諸君も、最低限コン○―ムは用意しておくように。意外かもしれないがこれがモテる秘訣だ」
老人はごそごそとサルマタを履く。
「純情乙女というより潤情悪女だろ君は。聞いたよ。宝石店襲って捕まったって?」
老人がみるるに話し掛ける。
「しかもガードマンと警察撃退して、この国の兵士まで倒して、魔法使いを引っ張り出させたって言うじゃないか。何者なんじゃ、一体」
ちっ、とみるるは舌打ちした。
「それに答える義理はねえ。け、時化た国だぜ。男には捨てられるし小遣い稼ぎは失敗するし牢にはお笑い芸人と露出狂がいるし・・・もう、こんなとこオサラバしてやる」
ごそごそとみるるは胸元からナイフを取り出す。
壁に魔方陣を刻み始めた。
「・・・?それ、どこの部族の魔法?俺、初めてみるよ」
フラルが傍に来て首をかしげる。
「あ、スペル間違ってますぞ」
老人が余計なことを言った。
フるふルとみるるが怒りに震える。
「わあるかったなあ!僕ぁ大学出てないから、魔法は使えないんだよ!これはただのおまじないなの!二人共ちょっと下がってろ!!」
みるるは壁にプラスチック爆弾を設置する。
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