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みるるは組み立てた雷管を差し込んで、さっと後ろに下がった。
白い光が辺りを射し抜く。
石で出来た牢の内部と牢の上の方にある明り取りの格子入り窓を照らして、爆音は静まった。
「・・・あれ?」
みるるが爆弾を設置した辺り。
壁はちょっと煤けただけだった。
「ううう、うっそお!」
くす、と小さく老人が笑う。
「無理じゃろう。この城は魔法によって守られているから・・・」
老人は壁に向かって手を差し出す。
老人の手のひらから小さな光の点が産まれ、それは左右に分かれて複雑な図形を描き出した。
「このくらいは、やらんと」
宙に浮かぶ魔方陣から炎が逆巻いて溢れ出す。
爆弾よりも数段大きな爆音と光を出して、壁は跡形も無く吹き飛ばされた。
「は、はは・・・」
みるるは力無く笑う。
とてちてたとたくさんの足音がみるる達がいる牢に向かっていた。
「に・・・」
だっ、と先ずみるるが走り出す。
「逃げるぞーぉっ!!!」
フラルと老人も走り出した。
「こらーっ!」
兵士達が槍を振り上げてその後を追う。
「まてえーっ!!かべなおしていけーぇっ!!!」
ぷんぷんと怒る城の兵士が国境までみるるたちを追いかけて行く。
「誰が待つかぁっ!ていうかてめえら論点は壁じゃねえだろ!」
みるる達は舌を出しながら全速力で走ったのだった……。
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