3.少年を抱き寄せても

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 自己嫌悪もあったが、それよりも唇の柔らかさや甘さに感じた嬉しさのほうが勝っていたのだ。誰かダメな俺を殺してくれ……。  遠くで水の音が聞こえて、ハッとした。  浴槽にお湯を溜めていたんだった。  黒川くんを揺り動かし、起こす。 「おーい、起きて。そのままだと、全身カピカピになっちゃうよ」 「あれ……俺……」  うっすらと開いた虚ろな瞳が俺を見る。 「おはよう、黒川くん、一緒にお風呂に入ろう」 「は、はぁ……」  黒川くんは返事だけしたが、起き上がりそうもない。  俺は彼を子供のように抱き上げると浴室へ連れて行った。
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