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「お、俺、自分に自信がないんですよね。誰にも必要とされてない、劣等感って、いうんですか? 俺なんか必要ないよねって思うと、その場から逃げ出したくなるんです……。だから、仕事、続かなくって……」
黒川くんは、そう言葉を続けながらお酒をグイッと飲んだ。
「でも、は、働かないとお金なくなるでしょ? だ、だから、たまに売りみたいなのしてて。簡単だし、それでなんか感じるワケではないんだけど、みんな必要としてくれて嬉しいし。お金も手に入るから一石二鳥……みたいな。――あは、あはは……こんなんだから俺はこの世から、誰にも、必要とされないんだ……」
「そんなことない!」
俺は口走ったことを覚えている。
「俺が今、君を必要としている!」
酔っていた勢いもあってそんなふうに言ったんだ。
その結果が、コレである。
彼の心の隙間に入り込み、金を握らせて俺は乱暴に抱いたのだ……。
それでも、そんな男の精液にまみれる黒川くんは美しかった。
いや、俺の支配欲が満たされているから美しく感じるのかもしれないけれど。
よく眠っている彼に顔を近づける。
見れば見るほど綺麗な顔だった。
ほんの数センチのところでキスできてしまいそうなほど顔を近づけた。それでも彼は起きない。
このまま、キスしても、起きない……?
気づいた時にはソッと口づけ、彼の唇の端をペロリと舐めた。
すぐさま離れて「はぁ~~~~」と長い溜め息をつくと、落ち込んだ。
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