プロローグ

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プロローグ

散々な人生だった。 苦しくて、悲しくて、毎日がつらく恐ろしい。 安心出来る場所はどこにもない。 友人も家族さえも、信用できないし、したくない。 知らない人間にも憎まれ恨まれ、命を狙われる日々。 いつも遠くから眺めていた。 家族がいて、あたたかくて清潔な家に住めて、友達もいて、愛されている同年代くらいの子ども達の姿を。 自分よりもずっと恵まれた子ども達に苛立ち、嫉妬する毎日。 一体何のために、自分は生まれてきたの? 目の前の青空をぼんやりと見つめながら、そんな疑問を思い浮かべる。 結局は答えなど出るはずはないとすぐ思い直し、浮遊感の中やがて来る衝撃を待った。 痛いの思いをするも、これで最後だ。 そう思えば、心が穏やかになる。笑みも浮かべられた。 だがあるものを視界に捉え、それこそ死ぬほど驚愕した。 「…ーーー!!!」 !? 嘘だ 何で…? 何でお前がそんな―――― 次の瞬間、目の前が真っ暗になった。
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