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「…管理人って、何をするんですか?」
「魂とこの世界の管理です。管理人はそれぞれ役割が決まっています。私は魂の保護と、このホテル近辺のエリアの管理です。今は人手不足の為に、魂の修復等も行っております。貴方もまた役割を与えられるでしょう。」
「管理人を断る事は?」
アルフォンスは首を横に振った。
「残念ながら…。ですが、今後の貴方にとってはメリットがありますよ。」
「今後…そうだ。私これからどうしていいかわからないです。」
「でしょうね。貴方は記憶を取り戻さなければ、生き返る事も転生する事も出来ませんよ。記憶はこの世界のどこかに散らばっていますので、管理人になれば手掛かりを見つける事も出来ます。そしてお給料も出ますし。」
「あ、お金とかあるんですか…。」
「ありますよ。忙しい分、給料が高い事が、この仕事の数少ない良いところでしょうね。」
苦笑してみせるアルフォンス。
(つまり余程忙しいんだろう…。)
幸紀はアルフォンスの目の下の隈を見て思った。幸紀の治療もあっただろうが、度重なる激務のせいかもしれない。
少し同情してしまった。
「白崎様、手紙はそれだけでしょうか。」
「え、あ、まだ書いてあった。」
最後まで見ていなかったが、手紙にはまだ何か書かれていた。
【こちらに名前をご記入ください。】
その一言だけで、あとは空白だ。
「名前書けばいいんですか?」
「通達の手紙としてだけでなく、契約書も兼ねてますからね。」
「…名前書いて大丈夫なんですか?さっきの怖い契約書と違いますけど…。」
「あの契約書は悪魔用ですからね。こちらのものは大丈夫です。貴方が管理人となる事を認めるものですから。」
アルフォンスが羽ペンを手渡す。
空いているところに、【白崎幸紀】と書き込んた。
すると、名前が紙にすーっと染み込むように消えていき、新たに文字が浮き出てきた。
【これで貴方は管理人となりました。貴方の配属は以下の通りです。】
【貴方は保護課の記憶係となります。】
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