第2話 妖美な天使

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「…うお……。」 龍紀があっけにとられていると、アルフォンスが肩をすくめる。 「貴方ねぇ…野蛮ですよ。その鈍器をホテル内に持ち込むなと、何度言わせるのですか?」 「鈍器なんて言い方、やめてちょうだい。そんな野蛮な物と一緒にしないで。」 ジェニフェールが何かを肩に担ぎ直す。 それを降り下ろして、テーブルを壊したのは明らか。 龍紀はそれが何か、すぐにわかった。 「それ…モーニングスター?」 「あら、貴方わかってるじゃない。」 ジェニフェールが嬉しそうに言った。 右手の鈍器を軽々と回してから、龍紀に見せつける。 棒の先にある球体に、針ネズミのようにいくつもの刺がついている。 「これが私の相棒よ。モーニングスターの【アンジェ】。」 「へぇ…。って、何でそれを持ち歩いているんですか?」 天使であり美女であるジェニフェールには、似つかわしくない。 そう思って質問したが、それにジェニフェールの方はきょとんとしていた。 「何でって…管理人だし。え?聞いてないの?」 「えっと…聞いてないのって?」 「管理人の仕事について…だけど…え?ちょっと、うん…まず確認させて。貴方管理人ってものについてどこまで聞いてるの?」 「…この世界と魂の管理で、死んだ人の魂や、肉体から離れた魂を保護するとか?」 「まぁ、合ってはいるけど…。」 先程までの怒りようはどこへやら。ジェニフェールは水でもかけられたような気分だった。 龍紀はその様子に、小首を傾げる。 「…あんた、ちゃんと説明してないわね?」 アルフォンスが、コーヒーを飲む手を止めた。 「…していないのではなく、忘れておりました。」 「大事なとこでしょ!?あり得ないわ!」 「その点については、非を認めます。あとで説明しておきますよ。」 「絶対よ。貴方のせいで、女の身体に傷がつく事になったら、私は貴方の頭蓋骨砕くから。」
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