第2話 妖美な天使

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龍紀が聞き返すと、アルフォンスは静かに頷いた。 「魂を回収する時や、輸送時に襲われる事はしばしばあります。先程魂狩りと言ったのを覚えていますか?」 「うん、まぁ。もしかして…魂が盗まれるのか?」 「そうです。」 アルフォンスが説明をはじめた。 「魂には様々な価値があります。金にも食料にもなり、そしてランクの高い魂は、力を得られるのです。欲しがるものは多いでしょう。貴方は魂であり、管理人であるのです。狙われる事になるでしょうね。」 「でも俺は回収も輸送もしないだろ?記憶係だし。危険はないんじゃないのか?」 「いいえ、十分危険なのです。…理由は2つ。1つは、先程言った魂狩りですが…最近過激になっております。いつ、どんな状況で襲ってくるかわかりません。2つは貴方の仕事となる記憶係は、安全な仕事ではないからです。それはまた説明いたしましょう。店を出ましょうか。」 「あ、うん。でもいいのか?テーブルが割れたし店の人に…え!?」 龍紀の目が驚きで丸くなった。 ジェニフェールによって、真っ二つに破壊された木製のテーブルが、壊れる前の状態で、何事もなかったかのように存在していた。 「今気づいたのですか?」 「アルが直したのか?」 「そんな面倒な事はしませんよ。このランプのおかげです。」 アルフォンスが頭上に輝くランプを指差した。 エメラルドグリーンのランプが、ゆらゆらと揺れながら2人を照らしている。 何のへんてつもなさそうな、綺麗なランプである。 「魔法の込められたガラスで出来ているのですよ。熱を受ける事で魔法の力を発揮し、ガラスの出す光を受けるものにだけ、魔法の効果を与えます。例えば、防音や壊れた物の修復等ですかね。」 「へぇ…。すごいな。あ、だからここ勧めたのか?防音なら、仕事の話もしやすい。」 「そうです。それに、ジェニフェールが短気になって暴れたとしても、ここなら人の迷惑にはなりにくいでしょう?」 アルフォンスの言った通り、ジェニフェールが大声を出したり、テーブルを壊したりした時に、店員が注意に来る事も、他の客が迷惑そうにする様子がなかった。 それもこのランプのおかげなのだろう。 「では、行きますか。回復したばかりの貴方には申し訳ないのですが、仕事をお教えしなくては。」 「あぁ、大丈夫。早く覚えないとな。」 2人は会計を済ませ、店を出た。
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