第3話 初仕事

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「これから初のお仕事でゲスか?」 「そうだよ。これからよろしく。」 「こちらこそでゲス!」 ちょこんと頭を下げるデズモンド。 和やかな雰囲気の2人の間に、威圧感たっぷりにアルフォンスが割って入る。 「デズモンド。昨日来た新規のゲヒルンを持ってこい。無駄話はやめろ。」 アルフォンスが冷たい視線を向けて言うと、デズモンドは大袈裟に肩を震わせた。 「は、はい!!ただいまお持ちいたしますでゲス!!」 デズモンドが走り去る姿を見ながら、幸紀が呆れたように言った。 「そんなに強く言わなくてもいいんじゃないのか?てか、俺が呼び止めちゃったんだし。」 「いいえ、きつく言うくらいでいいのですよ。あれは、私の配下であり、武器ですので。」 「武器?」 あの小さな生き物には、不釣り合いと言える言葉に、幸紀は首を傾げてみせる。 「ええ、あの性悪堕天使ごほん!!ジェニフェールがおっしゃっていた武器でございます。」 「咳払いで誤魔化した意味全くないからな。最後まで言っちゃってるからな。てか、いくらなんでも年下の女性に失礼だぞ。」 幸紀がそう非難する。 それにアルフォンスが腑に落ちない顔をした。 「何だか、貴方私以外の人間にばかり優しくないですか?」 「気のせいだろ。」 「私の方が先に会ったというのに。私には冷たいように思えますねぇ。」 「いい歳して拗ねるな。」 「ほら冷たい!」 「あ、デズモンド!うわぁ、それ多いなー。」 意識を向けるように、デズモンドの方を見て言った。 デズモンドはゲヒルンらしき本の山をかかえ、ふらつきながらこちらにゆっくりとやって来ている。 1冊1冊が百科事典のように分厚い。 今にも落としそうな本の山に、幸紀は慌ててデズモンドの側に駆け寄る。 「悪いなデズモンド。俺持つよ。」 幸紀の言葉にデズモンドは恐慌した。 「な、ななななな何をおっしゃるでゲス!?管理人様にそのような事をさせてはいけません!!」
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