異世界からやってきたのはオババでした。

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 婆さんに魔法の力はない。しかし、何かの加護なのか、あらゆる魔法、及び物理が効かず、魔法に至っては吸収してしまう。  吸収してから暫くの間、婆さんは若返る。吸収した魔法の強さにもよるが、先ほどの俺が発動した無詠唱の魔法なら約一時間といったところだろう。並みの術士の下級魔法程度なら、五分と持たない。ここ、俺を褒めるところだぜ?  そして、何の因果か、婆さんは若くなると、めちゃくちゃ強くなる。主に物理的に。カラテ? とかいうのを(たし)んでいたとか。 「さて、さっさと荷物運ばないとね」  そして、言動や性格まで若々しくなる。 「そう言えば、何で私、アンタを殴ったんだっけ?」  言われて、辺りを見渡すと、ことの顛末を傍観していた群衆の目に気がつく。 「おねーちゃん、凄い! 強い! 悪い魔法使いさん、倒しちゃった!」  そう言って婆さん、もとい女に駆け寄ってきたのはさっき転んで大泣きしていた子供だった。 「誰が悪い魔法使いだってぇ?」 「ひぃっ!」  別に凄んだつもりは無いが、俺の言葉に反応した子供が短く悲鳴を上げる。 「アンタよ! 子供(おど)してどうするの!」  再び拳骨が頭へとメテオの如く墜ちてきて、俺は気を失った。
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