貴方と炬燵で丸くなる。

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昔っからそうだった。 すっごく寒がりで。 今も。 炬燵に手まで突っ込み、ただでさえ丸い背中をさらに丸め、目を閉じて全身が暖かくなるのを楽しむように待っている。 「脂肪が少ないからね俺は」とかニンマリ笑ってくれちゃってさ。 オンナゴコロ、ってやつをとびきりの笑顔で踏んづけてくれたよね! そりゃあ付き合い始めからは少し増えたのは認めるけどね? 貴方だって以前に比べたらお腹の周りがポニョっとしてきてるよ? 言うと拗ねるから言わなかったけどね。 「はぁ、あったけぇ」 テーブル部分に頬を付け、ぼんやりと窓の外を見つめる彼の後ろ姿を、 私もぼんやりと見ている。 ………ねぇ、この際だから言ってもいい? そのトレーナーいい加減に捨てたら? 袖口はダルダルだし、首元も解れてるじゃん。 っんもう!いい男が台無し。 しかもそんな寝癖。 ホント相変わらず寝相が悪いんだから。 触りたいな。 少し近づくともぞもぞと動く彼。 何かを考えるように首を傾げてからテーブルの上のみかんを1個手に取った。 部屋中に広がる酸っぱい匂いに私は苦笑い。 ぺろりと平らげてみかんの皮をゴミ箱へポーンとシュート。 そして今度はテーブルに肘をついて流しっぱなしのテレビを見つめた。
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