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彼の正面にあるテレビからは祝日の昼間特有の賑やかな番組が流れている。
タレントさんが美味しそうな料理を目の前にしてその匂いや食感を上手にレポートしている。
「なぁ!これ美味そうじゃ………」
と貴方が声を張り上げた。
そしてすぐさまキッチンに向けた顔をぐにゃりと歪ませた。
「………クソつまんね」
乱暴に電源を切ってリモコンを放ると、テーブルの上の一枚の年賀状を手に取った。
あー、その人から来ちゃったね。
出し忘れてたかな。
ピ、ピ、とスマホを操作して「あ。お久しぶりです……」と話し出したのは多分、寒中見舞いなんかより電話の方が早いと判断したんだね。
筆無精の貴方らしい。
通話の途中、何度も貴方は咳払いをし、何かを堪えているみたいだった。
……えぇ、はい。ありがとうございます。
……ホント、はい、突然でしたので。
……どっかから耳に入るよりも直接お話したかったんで。
……えぇ、俺は大丈夫です。はい。
……いや、コチラこそ、元日だってのに、なんか申し訳ないです。
……え?あぁ、周りにも言われてて。
……そうなんです、実は今……。
……えぇ、どっちかというと苦手でしたね。
……あ、いえ、帰り道で意気投合したっつーか。
……はは、そうですね。お持ち帰り、ってやつですかね。
貴方のお留守になっている手が、私の頭をフワリと撫でた。
……えぇ、そうですね。でもまだ今は……はい、その時は是非。
……お誘いありがとうございます。では……はい。
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